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フカ君と勉強しよう!!

<第8話>  放射能って何?


 地震と津波で壊れてしまった原発から漏れ出る放射能が人々の生活を脅かしています。どこにどのくらいの量や種類があるのか目に見えず、健康被害や環境汚染を引き起こすことが心配されます。
今回は、「放射能」について勉強しましょう。

 宇宙も含めて、私たちの住む世界は原子と呼ばれる小さな粒子からできています。その原子には種類があり、水素や酸素、炭素などという元素名が付けられています。地球には100種類以上の元素が存在します。
 この元素名は、人の苗字(姓名)みたいなもので、同じ元素名であっても、重さや性質の違う兄弟原子があります。これらの兄弟関係を「同位体の関係にある」といいます。例えば、炭素を例にあげると、主なものだけでも3種類、炭素12、炭素13、炭素14という同位体があって、それぞれ「たんそ12、たんそ13、たんそ14」と呼び、記号では12C、13C、14Cと書き表されます。このうち炭素14は放射性同位体と呼ばれ、放射能を持ちます。

 放射性同位体は不安定であるため、ある確率で原子核が壊れて、異なる原子に変わっていきます。その時、放射線が放出されるのです。
 放射線は、粒子と電磁波の2種類に分類されます。「X線」や「ガンマ線」は、電波や光と同じ電磁波の一種で、波の性質を備えています。それに対して「アルファ線」、「ベータ線」、「中性子線」は原子を構成していた粒子の流れです。これらの、電磁波や粒子は高いエネルギーを持つため、生物の細胞に当たると、細胞やその中の遺伝子DNAを傷つけます。そのため、放射能の値(放射線量)が高いところはそれだけ生物への危険が増すのです。

 大量の放射線を浴びれば即死することもありますが、少量でも長く浴び続けると危険です。放射線による細胞などへのダメージは積み重なっていくのです。まるで、金属疲労のようにです。
 太い針金を手で引きちぎることはできませんが、同じ場所を繰り返し手で折り曲げていると、そこからポキンと折れてしまいます。この現象を金属疲労と言います。積み重なるダメージが金属結合を破壊したために針金は折れるのです。放射線による細胞やDNAのダメージの受け方が、この金属疲労と似ていますが、異なるのは、一回一回にうけるダメージが極めて小さい場合、生きている細胞やDNAには修復能力があって傷を治すことができるという点です。原発事故がなかったとしても、私たちは絶えず自然界の放射線にさらされて生きています。毎日浴びる少量の放射線は、健康を害するレベルでなければ問題はないのです。



   放射線は自然界の至る所にあります(自然放射線)。宇宙からは宇宙線が絶えず降り注ぎ、岩石の中にも放射性物質を含むものが多いので、それらも絶えず放射線を出し続けます。石造りの家の方が、木造の家よりも放射性物質が多くあり、放射線の被曝量は高いと言われています。それでも、健康被害が出ることは無いと考えられています。少しの被曝であれば、修復能力でダメージはリセットされるからです。
 しかし、放射性物質が多くなると話は別です。ラドンガスが地下から発生するところでは、重たいラドンガスが地下室にたまり、換気をしっかりしないと肺癌になるなど健康に害を及ぼすので、そのような家で地下室に長くいることは危険です。
 また、食べ物にも放射性同位体が含まれるものが多いです。生物の身体にはどうしても必要な元素があり、必須元素と呼ばれます。その一つであるカリウムは、ごくわずかながらカリウム40という放射性同位体が存在し、バナナやトマトなどカリウムが多く含まれる野菜類を食べることで体に取り込まれ体内被曝を受けます。しかし、通常は被爆の放射線量が健康を害するほどに高くないので問題になることはありません。

 体内に取り込まれた放射性物質が放出する放射線で徐々にDNAが傷つき、やがて細胞が癌化する場合もあります。有名なのは、1986年にソビエト連邦(現:ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所で起きた事故のため、汚染区域の子供が成長する過程で甲状腺に癌ができてしまうという悲劇がありました。
 原因は、放射性ヨウ素が甲状腺に多量に取り込まれてしまったため、長い期間、甲状腺の細胞が放射線にさらされて癌化したのです。
 のどの位置にある甲状腺は、ヒトの成長に欠かすことができない大切なホルモンであるチロキシンをつくって体内に分泌します。このチロキシンの材料にヨウ素が必要なのです。
 ヨウ素の同位体には、放射性のものとそうでない安全なヨウ素があります。原発事故で放射性ヨウ素がまき散らされて、大地に降り、そこで育つ牧草に吸収されて、それを牛が食べ、その牛の牛乳を飲んだためにそのような事態になったと云われています。

 ヨウ素の多くは通常、食べ物として摂取されます。日本人であれば、海苔やワカメといった海藻類がヨウ素を多く含むので、それらを食べればチロキシンの不足が起こることはありません。しかし、原発事故による放射性ヨウ素の増加が起きてしまうと、陸上、海洋で環境が汚染され、空気や水、食べ物に入り込み、ヒトや生き物の安全が脅かされるようになるのです。

次回も、放射能について少し勉強しましょう。

  

 

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