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海洋深層水とは?

 海洋深層水という呼称は、私たちが必要とするエネルギーや物質、あるいは安全で有用な諸水質をもつ資源性の高い、植物生長に必要な太陽光の届かない深層の海水を指しています。そして海洋深層水の定義は海水資源の利用という観点から、また生態学的な視点から行われています。海洋深層水の水質特性として、富栄養性、清浄性、低水温性、水質安定性等があげられ、これらの諸特性は「太陽光をエネルギー源とする物質循環系」という自然の営みのなかで絶えずつくられています(海洋深層水の生成)。

 清浄性は優れた培養・飼育水として、またいろいろな製品の原材料として、富栄養性は肥料や補助栄養物として、低水温性はエネルギー生産の冷媒源として活用できます。換言すれば、海洋深層水は資源として多くの価値をもっているといえます。そして上手に活用すれば枯渇の心配がない再生・循環するクリーンな大型資源ということができます。


海洋深層水という呼称
 「海洋深層水」という用語は、資源利用を意図している呼称で、私たちが必要とするエネルギーや物質、あるいは安全で有用な諸水質をもつ資源性の高い海水のことです。したがって、海洋深層水には「深い」という意味も勿論ありますが、むしろ、海水のもつ資源性やその利用という観点から、相対的に深いところに存在する資源価値の高い海水を称しています。

 海洋深層水のどのような性質を利用するか、また海域の違いにより水質の鉛直的な分布も変化しており、水深何メートルから海洋深層水という絶対的な表現はできません。その意味で海洋深層水の「深層水」は、曖昧(あいまい)な相対的表現ともいえます。例えば、海洋深層水の利用分野では、現在、水深300m付近の海水が対象になっています。しかし、潜水分野のダイバーにとって水深300mは「深層(深海)」ですが、海洋物理学や海洋生態学(海洋生物学)などの海洋学の学術分野では、「亜表層」、あるいは「中層」であり、決して「深層」ではありません。分野によってそれぞれに対象とする「深層」の内容や深さ、そしてその呼称にも違いがみられます。

 この語感の違いは、誤解や混乱をまねく恐れがあります。海洋物理学の「水塊の研究」や「水塊の地球規模的な循環研究」などの学術分野で呼称されている「深層水」は、「表層水、中層水、深層水、底層水」等の水塊区分の呼称の一つです。これらの水塊は海域や時期により鉛直的にも水平的にも流動し、その分布範囲も変化しているので学術分野での「深層水」も「水深〇〇mから××mの海水」とその分布の深さを絶対的な水深で表示することは困難です。学術分野では一般に1,000m以深の海水を指し、海水の資源性やその利用については対象にしていません。

 海水資源利用の分野であつかう補償深度より深い「海洋深層水」(海洋深層水の定義の項を参照)と海洋物理学等の学術分野であつかう1,000m以深の「深層水」には、その目的や深さに明確な違いがあります。それぞれの違いを理解し、誤解や混乱がないように心がけ、海洋深層水の利用に臨む必要があります。

参考文献
中島敏光(2002年):「21世紀の循環型資源・海洋深層水の利用」、緑書房、76-78頁.

【コメント】
 水深300m位から取水されている海洋深層水製品で、「2000年かかった海洋深層水商品」という「キャッチフレーズ」をしばしば目にしますが、これは「海洋深層水の資源利用」の分野で呼称する「海洋深層水」と海洋物理学などの学術分野で呼称する「深層水」が混乱して解釈・表現されている典型例ということができます。
 誤解したイメージ優先の「キャッチフレーズ」は、結果的に消費者からの信用を失うことになり、ひいては海洋深層水そのもののイメージを損なうことにもなりますので注意が必要です。

海洋深層水の定義

海洋深層水の水質特性(会員ページで詳述)

海洋深層水の生成